「日本のすごいお城ランキング」がたまにテレビ放送されており、時期や番組によってその順位はさまざまです。意外なお城がランクインする面白さもあり、一方で「今年の大河ドラマに寄せにいってるな」と思うことも。何ごともいちばんを決めるのは難しいです。
そこで今回は美しさや実践的な作り、歴史的価値など時と場合によって評価基準が異なるものではなく、具体的に示せる基準をもとに「いちばん」を探してみましょう!またお城を見学する際にここを抑えておくと少し見方がかわるかも、という点を解説していきます。
いざ、いちばんのお城はどこ?
世界遺産、国宝、日本100名城、すべてを満たす姫路城

まずはお城を客観的に評価する下記3つの指標を見てみましょう。
| 種類 | 日本国内例 | 基準 |
|---|---|---|
| 世界遺産 | 姫路城 | ユネスコに「顕著な普遍的価値」があると認められたもの。 |
| 国宝 | 姫路城、松本城、彦根城、松江城、犬山城 | 江戸時代以前に建てられた現存天守のなかでも、特に歴史的価値が高い。 |
| 日本100名城 | 各都道府県に1つ以上、合計100城 | 日本城郭協会が選定。人気のある近世城郭のみならず、幅広い時代の城郭を含む。外観のみならず細部や縄張の工夫も評価される。 |
姫路城は日本100名城であり、国宝であり、2026年現在日本の城郭単体で登録された唯一の世界遺産です。最も具体的で分かりやすく、世界的な基準で考えるのであれば姫路城がいちばんと考えます。
世界遺産登録基準としては「人類の創造的資質を表す傑作」「建築技術の発展の証明」が認定されています。建造物として格別の美しさと技術が詰まっている、といったところですね。
なお現在彦根城がユネスコに世界遺産登録の申請予定のため、もし認定されればその時に改めて考えましょう。世界遺産については下記記事で解説しています!

現存する天守、現存する本丸御殿、高知城

江戸時代以前より現存する天守は12城あります。
- 丸岡城
- 備中松山城
- 丸亀城
- 松山城
- 宇和島城
- 高知城
- 姫路城
- 松本城
- 彦根城
- 松江城
- 犬山城
- 弘前城
オレンジ文字は四国のお城。全体の1/3を占め、比較的多く残っていますね。この現存12天守は何かと有名ですが、実際にお殿様が暮らした本丸御殿が残るお城は以下の2城しかありません。
- 高知城
- 川越城
つまり天守閣と本丸御殿どちらも残るお城は日本で唯一高知城のみ!さらにお城の正門、追手門現存しています。築城当時の重要施設が残るお城としてはいちばんといえるでしょう。
観光客最多、いちばん大きいお城、大阪城

現存、復興含め日本一大きい天守は高さ41.5メートルの大阪城です。これは石垣の高さを含まない単体の大きさです。さらに日本のお城で最も観光客が多く訪れるのも大阪城。ちなみに高さ2位は名古屋城の36.1メートル。観光客数も大阪についで2位です。どちらも巨大な天守を持つ人気のお城として、よきライバルですね。
| 城 | 天守の高さ | 観光客数 (2025年) | 見どころ |
|---|---|---|---|
| 大阪城 | 41.5m | 約281万人 | 壮大な堀と石垣。現存する大手門。 |
| 名古屋城 | 36.1m | 約238万人 | 2018年に復元された本丸御殿。天守閣は当面休業。 |
この2城をあえて比較するならば、高さという視覚的な指標、観光客数という数値の指標で大阪城が日本でいちばんですね。国宝や現存天守の価値にとらわれず、「まずお城を見てみたい!」という方、特に外国人観光客にとって日本一大きい天守はインパクト大!アクセスも良く、展望台からは大阪の景色が一望できる超人気スポットです。
具体的な基準をもとに「いちばん」のお城を3つ紹介しましたが「いや結局どれなの!」と聞かれたら、専門家たちが厳格に基準を設けて評価していることが明らかな姫路城と答えます。しかし「いちばん」の基準は評価の角度によってさまざまで、ここに個人の主観が入るともう予想がつきません。自分のいちばんは自分で決める、そのためにお城の見方を少しだけ知ってみましょう!
お城のどこを見れば魅力がわかるの?
お城の見どころを上げると、縄張(城の設計や配置)、門に櫓に堀・土塁と多岐にわたりますが、すべて頭に入れて見学するのは容易ではありません。これらはまた別の機会として、今回は見分けのつきやすい天守と石垣に絞ってご紹介します!
お城のシンボル!天守を知ろう!
望楼型と層塔型
天守の形は大きく分けて2種類あります。図解してみました。

日本最初の天守「安土城」も望楼型とされています。お城のスタンダードといえば当初はこちらでした。層塔型は関ヶ原の戦い以後に誕生した新しい形式で、シンプルな構造ゆえに工期も短く澄んだようです。実際のお城で確認してみましょう。


望楼型は二階建ての建物に、一回り小さい望楼がスポッとはまってるのが分かります。大きな屋根が目に入り剛健で華やかな印象になります。先に紹介した姫路城、高知城、大阪城も望楼型。望楼の規模が大きいものは一見困惑しますが、分解してみるとすっぽりはまっていることが分かります。


層塔型は1階ずつ積まれ、上にいくにつれて小さくなります。積み上げるだけではとてもシンプルなので、そこに破風(屋根についてる三角形)をつけて飾りつけしていきます。この破風の種類や数で見た目の華やかさが決まります。写真の会津若松城と名古屋城でもだいぶ趣が違いますね。
「お城の絵を描いて」と言われたら、ササっと描ける層塔型が多くなりそうですね。わたしは望楼型のお城の方が力強く見えて好きなのですが、皆さんはいかがでしょうか。
天守のなかったお城
お城はもともと軍事施設、そのなかでも天守はやはり目立つ建物です。それゆえに「あまり城が目立っては幕府に目を付けられる…」と配慮し、そもそも天守が建設されなかったお城も多くあります。それでも町おこし目的などで近代以降に建設されたものは模擬天守と呼ばれます。正式な資料はないため、有名なお城を参考にしたり、いくらかの想像を詰め込んで建てられています。それだけ聞くと偽物のように思えるかもしれませんが、もともとの天守もシンボルとしての面が強かったもの。町の象徴が欲しいのは今も昔も変わりません。洲本城天守のように建設から100年近いものもあり、すっかり町になじんでいます。

現存天守でも模擬天守でも、いちばん身近なお城がいちばん好き、という方は多い気がしますね!
なんだか通っぽい…石垣の見方
明治時代の取り壊しや戦争の被害により天守以外の主要な建物の多くが失われましたが、石垣は当時のまま残るお城がたくさんあります。一見何もない城跡で「ここは石垣がいいんだよ」と魅力を語れたら格好いいんですが、(そう言われても…)という方も多いと思います。ここでは石垣の種類の簡単な見分け方と、全国各地の特徴的な石垣を紹介します!

石の加工具合で見分ける
戦国時代にお城づくりの技術は大進化し、石垣も例外ではありませんでした。石の加工具合で大まかな年代が分かります。



| 種類 | 野面積(のづらづみ) | 打込接(うちこみはぎ) | 切込接(きりこみはぎ) |
|---|---|---|---|
| 特徴 | 石を加工せず積む 小石を詰めて補強 | やや加工 高く積めるようになった | 石を直線的に強加工 最も発展した形 |
| 時期 | 戦国初期の石垣 | 戦国時代全盛期 最も多くみられる | 江戸時代以降 |
整然とした切込接の石垣は確かに美しいですが、お城検定の勉強をした後は野面積の石垣が好きになりました。一見するとそこら辺の石を積んでいるだけのように見えますが、それが何百年と崩れず残っているのは背後に相当の技術があってのもの。偶然残ったものではなく、技術のたまものだと感じます。
全国の個性的な石垣たち
型にはまらない自由な石垣たちをご紹介します。

大阪城の巨石
大阪城の石垣には一部極端に大きな石が用いられています。写真は桜門付近の「蛸石」。高さ5.5メートル、幅11.7メートルm、重さ108トンで城内最大です。豊臣が滅び、すでに徳川の城となった大阪城を再築する際に「めちゃくちゃ頑張って石垣作りました。忠誠心の証です。逆らう気なんてありません」という各藩のアピールの表れと考えられています。

鳥取城の巻石垣
一目でわかるこの妙な形の石垣は鳥取城の巻石垣です。石垣はその内部すべてが石積みではなく、土を盛ってそれを固めるように石垣が築かれます。しかしその内部の土が崩れてきたので、覆って支えるためにこの形になったとされています。日本で唯一ここだけの変わった石垣です。

今帰仁城の石垣
これまで紹介してきたお城はいずれも戦国時代前後の本土のお城ですが、沖縄の今帰仁城はそれらに比べ200年以上前に建てられたと考えられます。その石垣の技術は本土よりもはるかに進んでいました。アジア諸国との貿易で得た最先端の知識が発揮されています。曲線的に続く長大な石垣に圧倒されました。
この中だと巻石垣が好きです。「崩れてきた石垣を一から作り直すのは大変すぎる、何とか支えよう…!」という当時の人たちの焦りと知恵を感じます。
お城見学時の注意点
坂道多し!歩きやすい靴で行こう
お城はもともと軍事施設であり、容易に攻め込まれないよう複雑な区割りになっています。また完全な平地ではなく、見晴らし確保のためやや小高い丘に建つものも多いです。つまり天守に行くには妙に遠回りをする必要があり、それらはだいたい坂道か階段ということに。天守のないお城もこの作りであることは変わりません。すみずみ歩いて観察するためにも、歩きやすい靴で向かいましょう!
現存天守の内部は急階段
現存天守はいずれも内部見学可能ですが、江戸時代以前のまま残るがゆえにその内部は観光にあまり優しくありません。どこも垂直のように感じる急階段で、特に下りは手すりを持ち、一歩ずつゆっくり降りていかないと、足が滑って落ちそうな恐怖を感じます。スカート、大荷物は避けたほうがいいですね。木材保護のため裸足も避けましょう。内部は関連資料の展示や、お城そのものの構造が解説されているのでじっくり見学してから進みましょう!

天守最上階は案外狭いもの、譲り合って景色を眺めます。その他、展示されている資料の撮影可否などお城に掲示されているルールを確認しておきましょう!
「いちばんすごい」より、「いちばん好き」を
いちばんすごいお城はと聞かれたらわたしは姫路城と答えますが、いちばん好きなお城を聞かれたら、を考えてみました。これはなかなか答えが見つかりません。なじみ深いのは今の家から近い大阪城ですね。地元のお城は石垣しか残っていませんが、調べてみると案外歴史的に重要なお城だったりします。いちばん好きに答えが出たらまた記事を更新したいです。
多くのお城は公園として整備され、観光客に向けたわかりやすい解説が用意されています。ここまで読んで、明日にでも家の近くのお城に行きたくなった方!ぜひ気軽に訪問してみてください。お城はあなたを待っています!!

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